胎脂
わたしたちの赤ちゃんはお風呂の中に出てきました。
生まれたばかりの赤ちゃんは白灰色のべっとりした脂肪のようなものに包まれていました。
それが胎脂でしょう。
寒がった赤ちゃんをお湯の中にしばらく浸けておくうちに胎脂は溶けていきました。
胎脂は、生まれたばかりの赤ちゃんの皮膚を保護し感染や乾燥から守る働きがあるというので、
お湯に溶かさずに皮膚にとどめた方がいいのかもしれない、と思いましたが、
赤ちゃんも母親もお湯に浸かっていたいようだったので、それを優先しました。
その後、二人は風呂から上がり、布団に横になり、わたしは風呂を掃除しました。
そこには血や胎便や髪の毛、その他よく分からないドロドロしたものが浮き沈みしていました。
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誕生の日から三日間ほどわたしの両腕はつるつる・ぽかぽかでした。
ある種の温泉が肌をつるつるにしてくれるけど、それをもっと強くしたような感じで、
同時に心地よい熱が内から湧き上がってくるような、不思議な活力を感じていました。
つるつる、ぽかぽかは両腕の肘から先だけに、ありました。
それは誕生のときわたしがお湯の中に入れた部分でした。
わたしは湯船に入ることはせずに赤ちゃんを抱きあげ、掃除のときも腕を浸けただけでした。
その後度々、赤ちゃんをうつ伏せに胸にのせました。
わたしも赤ちゃんも裸で、肌の温もりを合わせていると気持ち良さそうにしていました。
わたしも眠りに誘われて朝までそのまま寝ていたり、おしっこをされたりしました。
赤ちゃんと肌を合わせた胸やお腹にも、わたしの腕に感じたつるつる・ぽかぽかをしばらく感じました。
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胎脂には肌を活性化する働きがあるのでしょう。
そしてその力は赤ちゃんの肌に宿っているのだと思います。
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お母さんがそうした体を活性化する分泌物を全身に浴びることができるのは水中出産のメリットのひとつだと思います。
その分赤ちゃんの体に残るものは少なくなるはずですが、赤ちゃんの体にはそれ以上の力が宿っているような気がします。
胎脂や出産の分泌物にどのような効果があるのかは興味のあるところです。
なにかご存知の方はぜひ教えて下さい。
わたしたちがお産に際して参考にしたのは、戦前の日本人がどうしていたのか、ということでした。
そこには日本人が長い時間をかけて気候風土に合わせてきた知恵があると思えました。
その習慣のひとつに「産湯」がありますが、生まれてすぐの赤ちゃんを洗うのはもったいないことのように思えます。
「産湯」という習慣はどこから発生し、どんなメリットがあるのかも興味深いことです。
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