イダンはもう歩いていた
イダンはもう歩いていた。
歩いては転び、そのまま座り込んできゃっ きゃっ と遊んで、 また歩く。
まんま まんま と何でも食べたがり、
テーブルのインドチャツネをすばやく わしづかむなり 頬ばって、
一瞬きょとんとして、激しく泣いた。
車に乗ったら、じっと窓の外を見ていて
LEDのイルミネーションがあるたびに
「らっ らっ」と指さして教えてくれる。
「ら」は、きらきら の「ら」。
さよなら を言うと 口を尖らせ、眼をつぶり、 やさしくキスしてくれた。
(親の教育)
きみの世界は、ぐんぐん拡がっている。
きみ自身の手足で、世界に触れている。
はじめて会ったとき、
きみは身じろぎもせず眼を見開いて 空中を見つめていた。
あれから、ぼくにとって あっというまだった。
そのあっというまに起こった あたりまえの変化が、ぼくを打つ。